花粉症
季節を問わず一年中、飛散している花粉。花粉症とは季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれ、透明のさらっとした鼻水、鼻づまり、発作的で連発するくしゃみの3つの症状を主とするアレルギー疾患です。
有病率は年々増加しており、ご自身でも行えるセルフケアで花粉症の対策をしっかり行いましょう。
目次
花粉症とは?
原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状があります。
花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向があります。
一方でハウスダストなどが原因となり、季節に関係なく年間通して起こるものは通年性アレルギー性鼻炎と呼びます。喘息、アトピー性皮膚炎などを合併することがあります。
この両方のアレルギー性鼻炎に悩まされる人も少なくありません。
鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。
鼻症状は呼吸がしづらくなるため、集中力の低下やよく眠れないなど、勉強や仕事、家事に大きな影響を及ぼします。
また、花粉症の人の中には、果物や生野菜を食べた後、数分以内に唇、舌、口の中や喉にかゆみやしびれ、むくみなどがあらわれることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉にあるアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)と、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起こります。これを交差反応と呼びます。
主な花粉と交差反応性が証明されている果物・野菜
食物アレルギー診療ガイドライン2016《2018年改訂版》より
花粉症の原因とは?
花粉症の約70%はスギ花粉症だと考えられています。
日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されています。全体的にみて冬の飛散量は少ないものの、スギやイネの花粉は年末から年始にかけても飛んでいます。
血液検査などでご自身のアレルギーの原因(アレルゲン)を正確に把握し、回避・対策をすれば症状は軽くなります。当院でも検査可能です。
主な花粉症の原因植物の花粉飛散例
一方で通年性アレルギー性鼻炎は、症状を引き起こす原因物質(アレルゲン)は人によってさまざまですが、ハウスダストやダニ・ペットなどが主な原因とされています。
花粉症と風邪の違いとは?
花粉症と風邪が併発してしまう可能性もありますが、一般的には以下の表を参考に区別しましょう。
? | 花粉症 (季節性アレルギー性鼻炎) |
風邪 |
---|---|---|
鼻症状 | ・透明のさらっとした鼻水、鼻づまり ・発作的で連発するくしゃみ |
・粘りっぽい黄色い鼻水、鼻づまり ・くしゃみ |
その他の症状 | 目のかゆみ | ・発熱やのどの痛み ・せき、たん、悪寒 |
日内変動 | 朝方や就寝時に悪化 | 日中いつでも |
期間 | ・一年中(通年性アレルギー性鼻炎) ・開花期中(花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)) |
短期間で軽快 |
家族歴・既往歴 | ・家族にアレルギー歴を持つ人が多い ・アレルギー性疾患にかかったことがある |
特に関係がない |
花粉症の治療とは?
花粉症は、一般に症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなりますので、花粉が飛び始める前、症状が軽いうちに早期治療をする必要があります。
花粉症の治療は、「薬物療法」、「舌下免疫療法」、「手術療法」の3つがあります。また、症状の原因となる花粉のアレルゲンを回避する環境整備も重要です。
薬物療法
鼻水を抑える抗ヒスタミン薬の飲み薬や、鼻づまりを改善する作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。抗ヒスタミン薬は、近年は眠気の出にくい薬もあります。さらに鼻の炎症を抑えるために点鼻ステロイド薬を使用したり、目の症状には点眼薬を用いたりする場合もあります。症状が強いときは点眼ステロイド薬を用いる場合もありますが、眼圧上昇などの副作用が出ることがありますので、眼科での定期的な検査が必要です。
舌下免疫療法
アレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種で原因となるアレルゲンを少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。
舌下錠ではスギ花粉とダニが保険適用となり、当院でも治療可能です。治療期間が3~5年と根気のいる治療ですが、症状をおさえる効果が期待できます。
手術療法
手術療法は、鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。薬物療法でも症状が抑えられない場合などに考慮される治療です。
花粉症ボトックス
花粉症ボトックスとは、ボトックスを滴下のみ行い、鼻腔の粘膜より吸収させ、鼻水や鼻づまり・目のかゆみ・涙などの辛い花粉症の症状を緩和する今話題の治療法です。
ボトックスがアレルギー物質との接触による局所の過剰な神経伝達物質の働きを抑制します。
花粉によって引き起こされてしまう鼻粘膜の副交感神経の興奮を抑えて、花粉症の症状を改善します。
鼻腔に滴下後、約10分横になり鼻の粘膜に吸収されるのを待つだけという手軽さで、痛みやダウンタイムがありません。
早い方ですと施術を受けた当日に花粉症の不快な症状を抑えることが出来ます。
滴下後、ボトックスが流れて飲み込んでしまっても、喉の粘膜や嗅覚への影響もないとされているので安心です。
副作用はほとんどないので、市販の飲み薬による眠気や倦怠感が苦手という方にもおすすめの治療です。
効果の持続には個人差がありますが、約1週間~1か月程度で、治療回数を重ねても効力が低下することはほぼありません。
ワンシーズンに2回が目安です。
花粉症ボトックスは自費治療で、初回¥7,700、2回目以降¥5,500でご提供可能です。
花粉症・アレルギー性鼻炎を放置すると?
鼻腔や咽頭の粘膜にアレルギー反応による炎症が持続的に起きているため、粘膜のバリアー機能が弱くなり、ウィルスや細菌が侵入しやすくなります。
もう一つのデメリットは、鼻づまりなどによる睡眠不足、それによる仕事でのパフォーマンスの低下が認められます。気が散ったり、頭がぼーっとしたりと、日常生活に必要な判断力や集中力に悪い影響が出てしまうこともあります。
花粉症のケア・予防とは?
一般に花粉は通勤・通学時間帯にあたる朝と夕方に多く飛散する傾向があります。
また、雨が上がると遠くから飛散する花粉に加えて地面の花粉も巻き上げられますので、飛散する花粉は倍増しやすくなります。
マスクや花粉防止用のメガネ装着以外にも、以下のことに気を付けましょう。
体調管理
早寝早起きをする、十分な睡眠とバランスのよい食事をとる、適度な運動をするなどして、体調を整えましょう。
服装
頭髪は帽子で、目や鼻はメガネやマスクで、首はマフラーやスカーフで付着を防ぎ、花粉が付着しにくいような表面がツルツルした素材の上着を選びましょう。一般的にウール素材は、木綿や化学繊維に比べて花粉が付着しやすく、室内に持ち込みやすいので要注意です。
帰宅時
家の中に花粉を持ち込まないように玄関前で衣服についた花粉を払い、すぐに着替えて手洗いうがい、洗顔で洗い流しましょう。
家の中
窓やドアをしっかりと閉めて室内への花粉の侵入を防ぎましょう。
室内に入った花粉を除去するためにこまめに掃除をし、空気清浄機をかけて室内での花粉の飛散を防ぎます。また、睡眠時に花粉を吸いこまないよう寝具もこまめに清掃します。布団乾燥機などを利用し、花粉シーズンは布団を外に干さないようにしましょう。