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アナフィラキシー

アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身にあらわれるアレルギー症状です。血圧低下や意識障害を伴う場合があり、一刻も早く医療機関で治療しないと命にかかわることもあります。

目次

アナフィラキシーとは?

アレルギーの原因物質(アレルゲン)などが体内に入ることによって、複数の臓器や全身にアレルギー症状が表れ、命に危険が生じ得る過敏な反応が出ることをアナフィラキシーといいます。
複数の臓器とは、皮膚・粘膜・呼吸器・消化器・循環器・神経などを指します。
数分~数十分以内に全身に現れ、血圧の低下を伴い意識障害や失神などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。
この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。
日本におけるアナフィラキシーによる死亡者数は2019年に62名にのぼりました。

アナフィラキシーの症状とは?

アナフィラキシーの症状はさまざまであり、体調やアレルゲンの量によっても異なります。

皮 膚 かゆみ、全身の発疹・発赤、口唇や舌の腫れ
呼吸器 咳、呼吸困難、ぜん鳴
消化器 腹痛、吐気・嘔吐、下痢
循環器 頻脈、血圧低下
神 経 しびれ、脱力感、意識障害
その他 失禁

アナフィラキシーを起こしやすい人は?

他の医薬品でアレルギー反応の既往のある方、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシーなどアレルギー疾患の既往のある方などです。

年齢に関連する因子としては乳幼児、思春期・青年期、妊娠・出産、高齢者とされています。

またβ遮断薬、ACE 阻害薬など一部の薬剤、アルコール摂取、運動、急性感染症、精神的ストレス、旅行などの非日常的な活動、月経前状態などはアナフィラキシー反応を増幅させることがあります。

アナフィラキシーの原因とは?

主にアレルギーの原因物質に触れる、食べる(飲む)、吸い込む、注射することで引き起こされます。

食物35%、薬20%、昆虫20%、不明20%、運動5%

患者さんが多いのは食物アレルギーが多く、重症化しやすいのはハチ毒と薬剤です。

食物 卵、牛乳、小麦製剤、ソバ、ピーナッツなど
昆虫 ハチ、アリ、ムカデなど
医薬品 抗菌薬、解熱消炎鎮痛薬、造影剤、血液製剤、一般用医薬品(市販薬)、局所麻酔薬、抗悪性腫瘍薬など
その他 ラテックス、身体的要因(運動、低温、高温、日光など)

症状が出るまでの時間は、アレルゲンや患者さんによって差があります。

ハチ毒は直接体内に入るため、数分~15分以内と早く症状が出る傾向があります。
これに対し、食物は胃や腸で消化され吸収されるまでに時間がかかるため、食後30分~1時間くらいかかることが多いです。
医薬品によるものは多くの場合、投与後30分以内にアレルギー症状が出現します。

いずれも発症が早いほど重症化しやすいとされています。

過去に複数回、安全に使用できた医薬品でも、アナフィラキシーを発現することがありますが、初回投与時に生じることもあります。

ハチなどによる虫刺されの場合は、一度刺されると数日で一旦改善しますが、再度刺されることによってアナフィラキシーを起こすことが報告されています。

以下の疾患もアナフィラキシーに繋がるとされていますので注意が必要です。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

食物では、それ自体を食べても症状がないけれども、原因となる食品を食べた30分~4時間後に運動(自転車、階段、サッカー、など)をすると呼吸困難やめまい、吐き気・嘔吐、じんましんなどアナフィラキシー症状が出現することがあります。
小麦やエビ・カニなどの甲殻類が多いといわれています。

ラテックス‐フルーツ症候群

ラテックスアレルギーの人の30~50%は、クリやバナナなどのフルーツによってアナフィラキシーを起こすことが報告されております。

口腔アレルギー症候群

花粉症の人が、果物などを食べると口や唇が腫れる病態であり、ときにアナフィラキシーに繋がります。

アナフィラキシーの検査・診断とは?

次の3つの要件のいずれかに当てはまれば、アナフィラキシーと判断されます。
①皮膚/粘膜症状(発疹、腫れ)+呼吸器症状/循環器症状(血圧低下)
②皮膚/粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状のいずれかが2つ以上
③急速な血圧低下

アナフィラキシーの治療とは?

具体的な治療はアナフィラキシーの重症度によって異なります。
症状が軽い場合には、症状に合わせた治療を行います。しかし、症状が重篤で、急激に悪くなる場合には、アドレナリンの筋肉注射が最優先になります。

アナフィラキシーになったことがある患者さんはアドレナリン自己注射薬(エピペン®)の処方を受けることができます。

エピペンⓇをお持ちでない場合には、じんましんに対しては抗アレルギー薬の内服、咳症状に対しては気管支拡張薬の吸入、ステロイド薬の内服を行うことも良いでしょう。

症状が一度治まった数時間後に再発することもあるため、速やかに医療機関へ行くことが大切です。

アドレナリン自己注射薬(エピペンⓇ)とは?

ペン型をしたアドレナリン(エピネフリン)の自己注射製剤です。
アナフィラキシーが現れた時に使用し医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤です。

心臓の働きを強くし、血圧を上げ、気管支を広げて呼吸を楽にするなどの即効性があります。

下記の症状が一つでもあれば使用すべきでしょう。

消化器 頻回の嘔吐、持続する腹痛
呼吸器 持続する強い咳、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい、声がかすれる、のどや胸が締め付けられる
全身 唇や爪が青白い、ぐったりしている、尿や便を漏らす

必ず太ももの前外側に筋肉内注射(通常 0.3~0.5 mL)を行います。
お尻や腕などの他の場所に打つと、効果やスピードが落ちるとされています。

一度アナフィラキシーを経験された患者さんでは、再度の暴露を避けるとともに、アドレナリン自己注射薬(エピペンⓇ)の携帯を推奨しています。
当院でも処方、指導を行っております。
危険な医薬品でもあるので、適切に使用することを心がけましょう。

https://www.epipen.jp/top.html

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