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イボ

イボとは皮膚の一部が盛り上がってできる小さなできもののことを指します。

イボはどの年齢層の人にもできますが、小児で最も多く、高齢者で最も少なくなります。

イボは種類によって形や症状が違うだけでなく、対処法も違います。できても痛みやかゆみなどの自覚症状を感じないことが多いですが、中にはイボのように見えても、悪性黒色腫など悪性腫瘍の初期症状のことがあるので注意が必要です。

今回はイボの種類とその見分け方、さらには対処法についてご紹介します。

目次

イボとは?

一般的にイボと呼ばれるものはウイルスが感染してできたできものです。

最初は小さいできものとして見られ、時間とともに大きく盛り上がり数も多くなってきます。ウイルス性イボの他に様々な原因があり、治療法が異なりますので、しっかり診断をつけることが大切です。

イボの原因とは?

主にウイルス感染、加齢性変化、紫外線やこすれなどの機械的刺激によるものが挙げられます。

最も一般的なウイルス性イボは、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)という、ヒトパピローマウイルス(HPV)というヒト乳頭腫ウイルスの一種が皮膚に感染することによって発症します。ヒトパピローマウイルスには150種類以上の型があり、ウイルスの型によってイボの症状や出る場所が異なります。

イボのウイルスは正常な状態の皮膚の状態であれば、皮膚のバリア機能によって感染することはほとんどありません。しかし引っかき傷やかすり傷などの微細な傷から皮膚の中に入り込み、肌の最も奥にある基底層の基底細胞に感染してしまいます。感染してから症状が出るまでの1~6か月間は、基底細胞が異常な細胞分裂を繰り返して増殖すると、表面が小さく盛り上がりイボが形成されます。

アトピー性皮膚炎などで肌のバリア機能が低下していたり、風邪やインフルエンザなどの病気やストレスで免疫が下がっていたりするとできやすいともされます。これらウイルスによるイボは、接触感染により広がることが多く、患部を触った手で触れることにより、体の他の部位に飛び火したり、周囲の人に感染したりする可能性もあります。

一方、紫外線や加齢が原因のイボはウイルス感染ではなく、長年の紫外線による障害や、加齢による皮膚の老化、また洋服の摩擦による刺激などが原因で起こると言われています。突然起こるものではなく、年月をかけて徐々にイボができるのが特徴です。

イボの種類とは?

イボは顔や手足などいろいろな所に発生し、できた部位やその形状で名前が異なります。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

最も一般的なウイルス性イボです。外傷を受けやすい手指や手足の末端、手の平や足の裏にできやすく、数mm~1㎝程度のものが多発し集まって融合し、面に広がることもあります。皮膚が丸みを帯びた形で盛り上がって硬くなり、痛みなどの自覚症状はありません。

扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)

20~40歳代の女性に多く、顔や腕、手の甲によくできます。多発することが多く、平らで肌の色や茶色をしています。

糸状疣贅(しじょうゆうぜい)

顔面、頸部に細長くて小さな突起ができます。花びらが開いたような形態をとったり、糸のように細く突き出した形態をとることもあります。

足底疣贅(そくていゆうぜい)

足裏にできる血まめのようなものです。あまり盛り上がらず、ざらざらして硬くなり、数センチの大きなイボになることがあります。また、うおの目と似ており、誤った判断で市販薬を用いると時に悪化することがあります。

尖圭コンジローマ

陰茎や肛門、膣などデリケートゾーンにでき、性交渉によって感染します。

伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)

伝染性軟属腫ウイルスいうウイルスに感染して起こるイボです。一般的には「水イボ」と呼ばれ、体の様々な部分にできる馴染みの深いイボのひとつです。プールで感染しやすく、子どもにできることがほとんどです。表面がツルツルとしたみずみずしい光沢のあるイボで、中央がへこんでいる形態をとります。

脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)

中高年の顔や手の甲、腕などに起こりやすく、表面がざらざらして茶色や黒色に盛り上がる老人性のイボです。紫外線が原因のため、男女問わず長年日焼けしやすい生活を送ってきた人に多くみられます。60歳以上ではほとんどの人に見られます。

アクロコルドン(首・脇・胸イボ)

肌色~褐色の良性の皮膚腫瘍であり、首・脇の下・胸元などの皮膚が柔らかい所に良く見られます。他の人に感染することはありません。

形は、有茎やドーム状、大きなものがあります。多くは無症状ですが、イボが衣類にひっかかったり、摩擦でねじれたりすると痛みを引き起こすことがあります。

イボの検査・診断とは?

イボは見た目でおおよその判断をつけることが可能ですが、うおのめとも似ているように、部位や大きさによっては判断がつきにくいこともあります。診断にダーモスコープ(拡大鏡)を用いた場合は、ウイルスによって増殖した細い血管が黒い点となって見えるのが特徴です。悪性黒色腫などの悪性腫瘍が疑われるときは、確定診断や切除範囲の決定のために、腫瘍の一部を採取して組織を顕微鏡で調べる病理組織検査を行います。

イボの治療とは?

イボは自然と治る場合もありますが、目立っていたり数が多かったりする場合は治療を行います。基本的には非手術治療が主体となりますが、大きいものや、顔の目立つところにあるもの、また悪性腫瘍を疑うものは手術することもあります。

イボの主な治療法は、-196℃の液体窒素を用いた凍結療法です。イボが固い場合は、硬い角質を取り除いてから行い、凍傷のように感染した細胞ごとイボを壊していきます。凍結した部分は2週間前後でかさぶたになり、削りとれるようになります。これを1~2週間に1回の間隔で治療を繰り返します。とても冷たいので治療中や治療後も痛みを感じることがあります。

ヨクイニンエキスの内服を併用することが効果的な場合もあります。ヨクイニンエキスには、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞を活性化する作用があり、イボのウイルスに対する免疫力を高める作用があります。単独での治療効果は弱く、副作用も少ないので他の治療法と組み合わせて行います。

また、皮膚を柔らかくしてはがすためにサリチル酸が含まれたワセリンや貼付剤の他、多発していて美容面も考慮する場合は痕を残さないようにするため、レーザー治療をすることがあります。

水イボでは、皮膚にテープタイプの局所麻酔薬を貼って患部に麻酔をかけ、ピンセットでイボを摘み取っていきます。

外陰部にできる尖圭コンジローマには、抗ウイルス効果や抗腫瘍効果が期待できる外用薬を塗布する治療が一般的であります。

どの治療法でも1回で完治することは少なく、複数回の治療が必要となることが多いです。

また再発しやすいのが特徴であり、根気よく治療を続ける必要があります。当院では拡大鏡でチェックしながら再発していないか確認するようにしています。

イボを放置すると?

イボは小さく数が少ないうちは比較的短期間で治癒させることが出来ますが、放置をした結果、大型のものや多発したものは難治性となり、他人への感染源としても問題になります。

大半のイボは良性ですが、例外は一部の尖圭コンジローマで、口、のど、性器の癌につながることがあります。

イボのケア・予防とは?

イボを触った手で別の部位を触ったりすることで広がるため、むやみに触らないようにしましょう。そのためには、こまめに手洗いをする、傷をつくらないようにする、傷口を触らないようにするといったことに気をつけていきましょう。

また、家族で発症している人がいる場合には、タオルやバスマットなどの共用はなるべく避けましょう。免疫低下やストレス、糖尿病などの合併症もイボを悪化させる要因になるので、体調を整えることも心がけることが大切です。

紫外線によって肌の再生力が低下し、劣化した皮膚がイボとなってしまうため、皮膚の老化に大きく影響します。そのため日常的な紫外線対策にも注意が必要です。

イボとミズイボ、ウオノメとタコ─どう違うのですか?─
Q1 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) (dermatol.or.jp)

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