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やけど

やけどは日常的にもありふれた外傷の1つです。医学用語では熱傷といい、患者の年齢として最も多いのは、10歳未満の幼少児です。
熱によって体を守る皮膚や粘膜が損傷するため、適切に処置しないとその部分から体内に菌が侵入し、皮膚感染症などの合併症を起こす場合があります。
ここではやけどについての説明をした上で、正しい応急処置方法などを詳しくご説明していきます。

目次

やけどとは?

やけどによる症状は損傷を受けた範囲や深さによって異なり、軽いものであれば、少しのひりひりとした痛みはあるものの、治療を受けなくても数日で治癒します。しかしやけどした皮膚はバリア機能が損なわれるため、細菌感染を起こしやすくなるので注意が必要です。重度のものになると、皮膚の移植手術が必要になったり、臓器障害などの二次被害を防ぐための全身管理が必要になったりすることもあります。

やけどの原因とは?

皮膚には、温熱や寒冷などの刺激から自らを守るためのバリア機能が備わっています。
しかしやけどにより、バリア機能が破綻し皮膚や粘膜が損傷を受けてしまいます。

温熱やけど

一般的によく見られるやけど。高温の液体や蒸気、金属、炎などの接触によるもの。

低温やけど

ホットカーペットや湯たんぽ、使い捨てカイロなどの40~55℃程度を長時間接触したことによるもの。

日焼け

紫外線の刺激を長時間受けたことによるもの。

化学やけど

酸性度やアルカリ性度の高い化学物質の接触によるもの。

電撃やけど

雷や電流の接触によるもの。

やけどの種類とは?

やけどの程度は接触する熱源の温度と接触時間によって決まります。
また皮膚がダメージを受けた深さと広さの両面から軽症、中等度症、重症に分類されます。
一般的に、やけどはダメージが及ぶ皮膚の深さによってI~III度に分類されます。

I度

皮膚のごく浅い表皮と呼ばれる部位のみにダメージが及んだ状態です。皮膚の赤みやむくみなどが生じてひりひりとした痛みを感じますが、いずれも数日で自然に治り、ほとんど痕も残らないとされています。

浅達性II度

表皮の奥にある真皮の浅い層にまでダメージが及んだ状態です。はっきりと赤みやむくみが見られ、損傷を受けてから24時間以内に、紅色の水ぶくれができます。さらに強い痛みを伴います。治るのに1~2週間ほどかかりますが、通常は痕が残りません。ただし、まれにダメージを負った部位に色素沈着が生じることもあります。

深達性II度

浅達性II度よりも真皮の深い層にまでダメージが及んだ状態です。白濁色の水ぶくれが形成されますが、神経なども巻き込まれるため非常に強い痛みを感じます。深達性II度であっても、III度に近い場合には知覚が鈍くなるため痛みは逆に減っていきます。また治るまでに3~4週間程度、治った後は皮膚にケロイドのような痕が残る可能性が高いです。

III度

皮膚の最下層(真皮の下)にある皮下組織にまでダメージが及ぶ重度なやけどのことです。患部表面が壊死した組織に覆われ、表皮が固くなり、皮膚は白色または黄褐色、黒色になります。知覚はまったく機能しなくなり、痛みを感じることはありません。治るまでに1~3か月以上かかり、多くの場合は植皮手術が必要になり、完治後もひどい瘢痕が残ります。また、皮膚のバリア機能が著しく低下するため感染症にかかりやすくなります。さらにやけどの部分から水分が出て行ってしまうので、脱水状態や電解質異常に陥り点滴治療が必要になることも少なくありません。

やけどの検査・診断とは?

やけどは受傷時の状況や皮膚の状態などから容易に診断を下すことが可能です。そのため、I度熱傷のような軽度なケースでは基本的には特別な検査が必要になることはありません。
一方で、深達性II度やIII度熱傷のような重度な熱傷では、炎症や脱水、腎機能など全身の状態を把握するために血液検査や尿検査が行われます。

やけどの治療とは?

やけどは最初の処置が肝心です。
以下の流れに沿って適切な応急処置をしていきましょう。

1.患部を冷やす

患部を少し外してすぐに清潔な流水で15~30分程冷やします。
顔や頭など場所によって難しい場合は、濡れたタオルやタオルで巻いた保冷剤や氷を当てるようにしましょう。冷やすことでやけどの進行を止め、痛みも抑えることができます。また以下の点に注意が必要です。

※子供は低体温になりやすく、冷やしすぎないよう注意が必要
※水ぶくれはなるべくつぶさないように
※水圧やタオルで患部を圧迫しないように
※衣服の上からやけどをしてしまった場合は、無理に脱がさないように

2.患部の保護

患部をタオルやガーゼで清潔に保護し、病院へ受診しましょう。

やけどの治療としては感染の予防が非常に重要です。そのため、日々傷の処置をして、受傷した皮膚を清潔に保つことがどの重症度であっても必須となります。
傷を消毒すると痛みがあり、かえって傷の治りが悪くなるので使用しないようにしましょう。
水ぶくれの中は傷を治す成分が含まれており、外部からの細菌感染を防いでいます。そのため水ぶくれはなるべくつぶさないようにしましょう。

I度や浅達性II度のやけどの場合は、受傷部を十分に冷却した後に、ダメージを受けた部位の乾燥を防いで痛みや炎症の改善を図るため、塗り薬や受傷部を覆う“創傷被覆材”などを使用した治療が行われます。

深達性II度やIII度のやけどの場合は、まず皮膚を清潔にして塗り薬や受傷部を被覆材で覆います。しかし皮膚の再生が期待できないような場合は、最終的にはダメージのある皮膚は切除し、広範囲にわたる場合には皮膚を移植する治療が必要となります。
やけどが広範囲である場合や顔や手足、会陰部などの特殊な部位でのやけどの場合は、全身状態の管理の他、外科的処置が必要となり入院となることもあります。

やけどのケア・予防とは?

やけどを予防するには、皮膚にダメージを与える熱源、紫外線、化学物質などを避けることが大切です。化学物質が付いたらすぐに洗い流します。衣類の上から熱湯を被った場合は、衣類は脱がずに冷却します。紫外線を防ぐために日焼け止め、日傘などを活用しましょう。
特に低温やけどや化学熱傷は、気付かぬうちに皮膚の深い部位にまでダメージが及ぶことがあるため注意が必要です。使い捨てカイロ、湯たんぽ、電気こたつなどの暖房機器を使用したまま眠らないようにしましょう。
また、子どもでは電気ポットや炊飯器の蒸気に触れてやけどする事故が多くなっています。
子どもは皮膚が薄く、やけどに対する抵抗力が弱いため、より深くダメージを受けます。周りに危険なものを置かないようにしましょう。

やけど(熱傷) | 一般社団法人 日本創傷外科学会 一般の皆様へ

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