帯状疱疹にご注意を
帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスによる神経の損傷と皮膚症状が現れる疾患です。
症状には個人差がありますが、体の左右どちらかの神経に沿って、チクチク・ピリピリといった痛みやかゆみ、感覚の異常と、これに続いて赤い湿疹や小さな水ぶくれが現れたら、帯状疱疹かもしれません。
初期段階では、虫刺されやかぶれ、他の皮膚疾患などと鑑別が難しい場合も少なくありません。
当院では、診断に迷う場合でも迅速検査キットを用いて帯状疱疹と確定診断し、積極的に治療をしております。
約7割が50歳以上ですが、残りの3割には20代~30代も含まれており、若い人でも発症する可能性があります。
私自身も20代後半で発症しました。
既往歴のない健康体でしたが、仕事や育児での疲労が原因と考えらえます。
右手の小指付近のしびれから始まり、右前胸部に小さな水ぶくれが出現したので帯状疱疹を疑い、内服治療をすぐに開始しました。
しびれと湿疹の部位が離れているようで、同じ神経領域なのです。
日本の成人のおよそ9割の方が帯状疱疹の原因となるウイルスを体内に持っているといわれています。
通常は生涯に一度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発は全体の約4~6%とまれです。
帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも、早期発見・早期治療が非常に重要な疾患です。
帯状疱疹後神経痛の痛みの程度は様々ですが、夜も眠れなかったり、洋服が擦れるだけでも痛かったりと、日常生活に支障がある人は少なくありません。
その痛みが、数か月から数年後遺症として残ることがあります。
帯状疱疹後神経痛の痛みは、ウイルスの増殖によって引き起こされる炎症による痛みとは原因が異なるため、治療法も変わります。
当院ではその痛みに対しても対応可能です。
帯状疱疹後神経痛の痛みに対しては、消炎鎮痛薬の他に、抗うつ薬、抗不安薬、オピオイド鎮痛剤などを症状にあわせて投与します。
なお、抗うつ薬は痛みを抑えるためで、うつ病のために投与されるものではありません。
神経ブロックとは、交感神経の緊張を抑えることで血流を改善し、炎症を和らげて神経の修復をはかります。
遅くとも発症2~3か月以内に開始することが大切です。
ブロック注射は継続して行い、発症部位により神経ブロックの方法は異なります。
近赤外線治療とは、スーパーライザーという直線偏光近赤外線治療器を用いて疼痛管理をしていきます。
神経の興奮を鎮める作用があり、痛みにも有効です。
他には、神経の伝達を一時期低下させる高周波熱凝固や、疼痛を抑制するように働きかける脊髄電気刺激装置埋め込み術などがありますが、その場合は高次医療機関にご紹介させていただきます。
免疫を低下させないためにも、バランスのとれた食事、十分な睡眠、十分な休息、適度な運動を心掛けましょう。
持病のある人は自己管理もしっかりとするようにしましょう。
できるだけ健康的な日常を保ち、心身ともに落ち着いた時間を作るようにするなどストレスのたまりにくい状況を維持することが予防につながります。
また、50歳以上の方は帯状疱疹予防ワクチン(シングリックス)を接種することも可能です。
シングリックスは、2018年に厚生労働省より製造販売承認を取得しています。
子供のころに接種する水ぼうそうの生ワクチンを接種することも可能ですが、その発症予防効果は50%程度と言われ、高い予防効果があるとは言えません。
一方、シングリックスは50歳以上で97.2%、70歳以上で89.8%の予防効果があると報告され、非常に高い予防効果が期待されるワクチンです。
またその持続効果も初回接種後9年間免疫が持続することがわかっています。
投与方法ですが、筋肉注射を2回接種する必要があります。
通常、初回接種2か月後に2回目の接種を行います。なんらかの事情で接種困難な場合でも6か月以内に接種する必要があります。
最大の欠点としては、日本では国の公費負担制度がまだありませんので、基本全額自費となります。
当院の価格は1回22000円(税込)です。
2回接種で合計44000円(税込)の費用が必要となります。
接種ご希望の方は、まずは診察をご予約していただき、前払い後に日程をご調整いたします。
ご理解の程、どうぞ宜しくお願い致します。