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水虫(白癬)

水虫は自覚症状がないまま症状が進行することが多い病気です。
5人に1人は足水虫があり、また10人に1人は爪水虫があるという報告があります。
一般的に夏に増加し、冬には減少します。他人事ではない身近な水虫に対して詳しくご説明します。

目次

水虫(白癬)とは?

水虫にかかっている人は、日本では約2,500万人いると推定されています。
水虫は足以外にも、手、顔、頭、おなか、爪などどこにでも感染します。
足以外の水虫の多くは、足から広がっていった場合が多いです。

水虫(白癬)の原因とは

水虫は真菌(カビ)の一種である白癬菌が皮膚に感染して生じる疾患です。
この白癬菌はケラチナーゼという酵素を持っており、皮膚の一番外側の角質層(かくしつそう)のケラチンという白癬菌の栄養源である物質を溶かして侵入していきます。

角質層が最も厚いのは、手のひらと足の裏ですが、手は洗うことが多く、足のように靴下や靴を履いて高温多湿の状態になることが少ないため足によく見られます。
爪、毛にもケラチンがあるため白癬菌は体中どこにでも感染するわけです。
角質層は、外側の刺激や雑菌から体を守るために強固にできており、そのため薬が浸透しにくく中々菌が死滅しません。治りにくいのも特徴のひとつです。

白癬菌は高温多湿の環境で活発に増殖するので、夏になると症状が悪化することを繰り返します。
つまり白癬菌と一定期間接してかつ高温多湿な環境が重なったときに菌が増殖し始めるのです。
以下の状況がリスクと考えられます。

  • ハイヒールをよくはく人
  • 足の指の間隔が狭く、蒸れやすい人
  • 糖尿病の人・肥満の人・足の血行が悪い人
  • 小さな傷がある人
  • 皮膚のバリア機能が低下している人
  • 長靴やブーツ、分厚い靴下などを長時間履く人

水虫(白癬)の種類とは?

趾間型(足の指の間)

もっとも多いタイプで、足の指の間が白くふやけてジクジク湿る湿潤型や、皮がむけてかさかさする乾燥型があります。
とくに、薬指と小指の間にできることが多く痒みを伴うことが多いです。
かゆみは乾燥型よりも湿潤型で強くなります。
二次的な細菌感染や塗り薬によるかぶれを生じやすいタイプです。

小水疱型(水ぶくれ)

梅雨の季節に発症しやすく、秋によくなるケースが多く見られます。
足の裏、足の外側、内側、足指の間などに軽い赤みを伴った小さな水ぶくれができ、破れた後に乾燥してポロポロ皮がむけます。
長時間靴を履く人、油足の人に多いタイプです。
進行するとかゆみを伴うこともあります。

角質増殖型(ガサガサ)

足の裏、特にかかとの皮膚が厚くなり、表面がザラザラしてきます。
白く見えかゆみはほとんどなく、ひび割れると痛みが生じ、慢性化していて治りにくいです。
夏に悪化するが冬でもかかり、治りにくいタイプです。

爪白癬

白癬菌が爪の中に侵入してくると、爪が白く濁り、黄色や黒っぽくなってきます。
また爪が分厚くなり変形しもろくなり、通常の爪切りでは切れなくなったりすることもあります。
かゆみや痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
足水虫の患者さんの約半数に爪にも白癬菌が発見されるとも言われております。

頭部白癬(シラクモ)

頭部に大小の円形の境界明瞭なフケが出現し、自覚症状はなく、残っている毛は簡単に抜けてしまうことがあります。
最近では、柔道などのスポーツ選手で感染するケースが増えています。
ケルスス禿瘡といって皮膚の深いところまで感染すると、永久に脱毛となることもあります。

股部白癬(インキンタムシ)

成人男性に多くかゆみが非常に強く、治りにくいのが特徴です。
多くは足の水虫に併発し、太ももあたりから陰部、お尻に小さな水ぶくれや赤い発疹が広がります。

体部白癬(ゼニタムシ)

胴体や顔、首、手足の甲などの体に輪状の発疹やかゆみを伴う小さな水ぶくれが出現します。
中心が正常でまわりに拡がるのが特徴です。

水虫(白癬)の検査とは?

検査は、足の裏や指の間の皮むけ、水ぶくれ、白く濁った爪の一部を取り、顕微鏡で観察します。
検査結果は5~10分程度でわかり、痛みを伴うことはほとんどありません。
顕微鏡検査にて白癬菌を確認すれば診断できます。経過によっては何度か検査させていただくこともあります。

水虫(白癬)の治療とは

足水虫はタイプ毎に治療期間が異なります。趾間型では 2 カ月以上、小水疱型では 3 カ月以上、角化型では 6 カ月以上が目安となります。
また症状に合わせて薬を選び、主にカサカサ型には液剤かクリーム剤を、ジュクジュク型には軟こうを使用します。
外用薬を塗る量・期間や範囲が不十分な人は中々完治せず繰り返してしまいます。

外用薬は、かゆみや皮膚の見た目がよくなっても、その後更に根気よく1ヶ月以上の塗布が必要です。
特に症状が出ているところだけでなく足の裏全体、足の側面、足指の間、足の指は爪の周りや甲まで、かかとの部分はアキレス腱まで広く塗り残しがないように塗ることが重要です。
また、足をきれいに洗ってから、角質層が軟らかいときに塗ると薬の浸透率が高まるので塗るタイミングにも注意します。

爪水虫の場合、内服薬を約3ヵ月~6ヵ月服用します。
稀に肝機能障害を生じることがあるため、治療中は血液検査をさせて頂きます。
特に一緒に飲むと予期せぬ副作用がでたり、薬の作用が強まったり、弱まったりする相互作用を起こす薬が多いため、他の薬剤との組み合わせなどにも注意が必要です。

外用薬での治療期間は約1年~1年半程度必要です。爪以外の皮膚につくとかぶれる可能性がありますので、周囲の皮膚に着いた薬剤はふき取ってください。
副作用は塗布部位のかぶれや痒み、乾燥などです。

爪水虫があり、足水虫は外用薬で治っても、爪水虫は治っていない可能性もあるので両方の治療が必要です。

日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019

水虫(白癬)を放置すると?

ひび割れやただれの部分に細菌が入り込み、感染症を起こすこともあります。
感染症を引き起こすと、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という病気になり足の甲からスネにかけて赤く腫れて痛みを伴います。
他にも悪寒やだるさを感じ、足の付け根のリンパ節が腫れたり熱を出すことがあります。
その場合には安静を保ちながら、抗生物質の点滴や内服を行います。

特に免疫力の弱った糖尿病の患者さんが感染症を起こすと、足の組織が壊死(えし)し切断につながる危険性もあります。
爪水虫が重症になると、変形した爪が皮膚に食い込み、痛くて歩きにくくなる、転倒しやすくなるといった症状が現れることがあります。

水虫(白癬)のケア・予防とは?

ポイントは清潔、乾燥、清掃です。

家族や同居人に水虫にかかっている人がいる場合は、床を素足で歩かずに、バスマット、スリッパを別にするようにしましょう。
家族内で再感染を繰り返す可能性があるため、全員同時期に治すと良いでしょう。
また白癬菌の生命力は強く剥がれ落ちた皮膚の破片によって他の人に感染させてしまう危険性があるため、床や畳、カーペットなどはこまめに掃除を行い、清潔を保ちましょう。
爪切りも共用はやめるようにしましょう。

スポーツクラブのプールやシャワー室、入浴施設や宿泊施設などの不特定多数の人が出入りする場所に頻繁に出入りをすると感染のリスクが高まります。
白癬菌が足に付着しても、付着した白癬菌が感染するには24時間以上かかります。
角質層に入り込まない限り、菌は簡単に落とすことができますが、足に傷があると12時間でも感染してしまいます。
白癬菌が付着した状態が続き、菌が増えやすい環境が整うことで水虫にかかります。
そのため足を洗う回数を増やすなど清潔を保つことで感染予防につながります。石けんを使い、足の指の間もしっかり開いて、ゴシゴシ洗いではなくやさしく丁寧に水やぬるま湯で洗うのがポイントです。
洗った後は、指の間、足の裏を清潔なタオルで拭いてしっかりと乾燥させます。
この状態で外用薬をつけるのが最も効果的です。

汗をかきやすい、蒸れやすい革靴やブーツを長時間履いている人は通気性が悪く湿気がたまりやすいので高リスクといえます。
白癬菌は汚れを好み、温度15℃以上、湿度70%以上になると繁殖しやすくなるからです。
また、糖尿病の人等は水虫にとって住みやすい環境の持ち主であり、感染しやすい状況になります。
一日に何度か洗って靴下を替えるとよいでしょう。
特に靴下は分厚くない通気性のよい木綿や麻のものがよく、指の間がふやけて白くなる人は指の間にガーゼをはさむか5本指の靴下を推奨します。
また、靴をよく乾かすことも大切です。
夏場のサンダルも汗がたまりやすいので、こまめなケアで蒸れにくい環境を作り清潔を保つようにしましょう。

また、衣類に付着した白癬菌は自然乾燥では殺菌できないため、乾燥機やアイロンを使用して高温で殺菌するようにしましょう。

参考リンク:皮膚科Q&A(日本皮膚科学会)

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